1 人魚

臆病な私は
貴方に手を伸ばしても
すぐにひいてしまう

何もとりえのない私
人魚姫のように
零した涙が真珠になれば
貴方は私に振り向いてくれる?

それなら私
なんでも出来る気がするの
だってほら
今 私の周りには
たくさんの真珠が転がってる
途方もない幻想
いつから私は見るようになったのかしら

嗚 呼 、 貴 方 が 愛 し い 




2 黒蝶 

華麗に弧を描く黒い華
黒蝶は宙を悠々と翔ける

舞 舞 舞

黒い華は僕に舞を披露した
そして僕は心内で
拍手喝采をその華に送っていた





3 桜 

散りゆく花弁は残酷に
空を舞って哀れを魅せる

今宵 我は果ててゆく

散りゆく花弁は残酷に
時に影と調和する
真紅に染まるその瞬間
ヒトは何人同情ス

春の季節は残酷に
花弁と共に散ってゆく




4 失恋 

あの瞬間
私の世界は閉ざされた気がした

周りが全部モノクロで
記憶さえもがモノクロで
私の居場所はない気がした

望みも軽く踏み潰されて
私の心をかき乱した

全部私の努力不足
分かっているのに涙は絶えぬ

何も結局得られなかった
あの時の私が恨めしい

あの楽天的でお人好しの私が恨めしい
結局は私はなに一つ得ていない

あの時は人の幸福を心から望んだ
そうして幸福を手にした人を
私は今も喜んであげれるだろうか

妄想に満ちた夢たちを
今はもう思い出せない

私はもう 恋をしない




5 白雪姫 

異様な雰囲気の老婆が
私に林檎を差し出した時
分かってた
其れに毒が入ってる事なんて
分かってた

それでも私が其れに手を出したのは
どうしようも無いこの薄い存在を
いっそのこと消失させようと
怪しげな果実に身を任せた

瞬間
周りの景色は揺らぎ
自らの意識も遠のいた

愛されたかった
愛が欲しかった
真の愛に飢えていた

そんな私の頬には
いつの間にか涙が伝っていた

次 目が醒めた時
真実の愛は目前だった

見つけた
広げた掌を握り返してくれるヒト
次は私が愛を注いであげる
溢れるほどに




6 レクイエム 

僕は君の掌で
君の思うが侭に舞っている
気付いていたんだよ
でも言ったら君は僕に
微笑み返してはくれないだろう?

計算し尽くされた君の論理に
邪魔を入れようと刺し掛けても
歪んだ愛は邪魔をさせない
これももしかしたら
君の計算の内だったのかもね

残酷なレクイエムが
僕の耳から離れようとしない
其れは君への執着が増すばかりで
終わりが近いことなど無いのだ

残酷なレクイエムが
計算し尽くされた君の論理に
合わせて流れ出す
そして僕は
ただ用意された舞台の上で舞うのだ

掌という舞台でね




7 依存症 

手を伸ばしたら
振り払われ
抱きしめようとしたら
全身で拒絶

君を愛して止まないのに
君が欲しくて堪らないのに

いつしか君は僕の前から消えていて
そして僕は夢の国の住民になったんだ

幻想の世界で
君は僕だけに微笑みかける
君は僕だけに抱擁される
君は僕だけに愛される

僕はもう現実に戻らない
君が居ない現実こそ偽の世界

今きっと偽の世界の一室で
僕の身体は冷たく横たわり
微笑しながら硬直しているだろう

こういうのは依存症だと
誰かが言っていた気がしたよ





8 夢と戯言

夢なのか希望なのか
其れとも戯言なのか

此れを夢というならば
春の夜明けの
紺色の諧調を
背に佇む桜の木から
花弁がはらりはらりと
千切れる様に舞い散る如く
其れは儚く散るだろう

夢なのか希望なのか
其れとも戯言なのか

此れを夢というならば
其の名の通り夢を見たい
戯言でも構わない
構わないから
愛して欲しい

夢なのか希望なのか
其れとも戯言なのか

他から見れば醜い戯言だろう
否 僕にしたら
其れは夢なのかもしれない
否 僕に出来ることは
叶えようとすることは愚か
其の夢を飲むしか術はないのだと




9 折れた翼 

身体を反らせてみた
軋む様な痛みが脳まで響く
一部は真紅に染まり
痛々しさを増徴させる
何枚もの羽が宙を切って
地に降りた

小刻みに震える翼
上手にたたんで
己を包み込んだ
壊れた傘のように
気まぐれなその一部は
希望に一番遠かった

目を閉じれば
あの頃のあの空が
鮮明に脳裏に映る

太陽は地上にいるより
眩しさが増し
雲は地上にいるより
近かった

嗚呼 麗しきあの頃
折れた翼は
過去ばかりを映して
未来を映してはくれない

飛べない天使に用は無い
未来なんて無いのだから
映らないのは当たり前

身体を反らせてみた
その後の記憶はもう無い




10月明かり〜涙〜 

喪服の行列
囁き声が耳に響く

貴方の顔を
直視できない
貴方の抜け殻なんて
見たくない

薄く閉じた瞳
もう戻っては来ないと
悟るかのよう

自分の首に手をかけて
今すぐ貴方の
そばに行きたい

ゆらゆらゆらり
涙越しに揺れる月

貴方は月より高いところに
私を置いて
行ってしまったんだ

ゆらゆらゆらり
揺れる月
私の涙と流れていった

きらきらきらり
月明かりに照らされた涙

乾くともなく水溜り




 
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